最上のコーヒー Grand Cru Café グラン クリュ カフェ

グラン クリュ カフェ

エル サルバドル 国旗 エル サルバドル セルバ ネグラ農園

セルバ ネグラ農園で人知れずアフリカから持ち込まれたというコーヒーの樹をコーヒーハンター José. 川島 良彰が発見し、そのユニークな味に一目ぼれ。本人さえも未知のコーヒーと語る文字通りの希少種。

【風味の傾向】 柔らかな口当たり、シルクのようになめらかな舌触り。キャラメルのような甘く香ばしい風味が際限なく広がる。

  • 生豆生産国:エル サルバドル
  • 生豆産地:サンタ アナ県 サンタ アナ地方
  • 農園:セルバ ネグラ
  • セクション:レセルバ ケニア
  • 農園主:フローレンス ヒル マティス
  • 標高:1,750m
  • 栽培品種:アラビカ種 ケニア(呼称)
  • サイズ:スクリーン 17~19

味、香りの特徴

2008年度
干し草のようなアロマ。キャラメルやナッツ系の香ばしいフレーバーがある。口当たりのいい酸味を感じる。柔らかいマイルドな味の後に感じる力強さ。
2009年度
ピーチのようなフルーティーなアロマ。カシスと干し草を感じさせるフレーバー。ほどよい酸味の中に甘みを感じる。
2010年度
ナッツと甘いスパイス、そしてキャラメルの甘く香ばしいアロマ。フレーバーは、ワインやナッツを思わせる。ベリー系の酸味が甘味に変わり、余韻が長くマイルドな印象。
2011年度
スパイシーな中に甘いピーチのフルーティなアロマを感じる。フルーツ、ナッツ、チョコレートの複雑なフレーバーがあり、ヨーグルトのような酸味が長く残る。
2012年度
モモのような甘いフレーバー。まろやかな口当たりではじめのうちにシナモンのニュアンスが現れる。しっかりしたボディで、柔らかい余韻を感じる。
2013年度
はちみつやナッツ、スパイスの複雑なフレーバー。口当たりはとてもなめらかで、キャラメルのような甘い香ばしい後味が長く続く。
2014年度
スパイス、キャラメルのアロマ。バニラ、ヨーグルト、ヘーゼルナッツ、オレンジなど複雑なフレーバー。バターのような滑らかな舌触りで余韻が長い。
2015年度
洋ナシのようなとろける甘みと華やかな香り。黒蜜のように滑らかな舌触りで、後味は香ばしい甘みが広がる。
2016年度
洋ナシのような甘い風味が広がり、甘く香ばしいキャラメルのような後味に包み込まれる。フルボディでどこまでも続く甘み。
2017年度
キャラメルの風味。ヨーグルトような酸があり口当たりは非常に滑らか。濃厚で甘い余韻はラムレーズンを思わせる。
2018年度
あんず、ジンジャーのアロマ。黒蜜のようなねっとりとした質感。洋梨のような優しい酸。アフターにアーモンドの香ばしさ。一本の大樹のような存在感のある甘さ、その周辺に色とりどりのフレーバーが花開く。
2019年度
バニラやシフォンケーキの甘い香りで穏やかに始まり、レモンやヨーグルトのさわやかな酸味が織り重なったかと思えば、とろりとしたコクが舌をそっと包みこむ。

セルバ ネグラ農園について

コーヒー生産の盛んなエル サルバドルの中でも、グアテマラ国境に近いサンタ アナ地方は火山灰性の土壌から上質の酸味を持ったバランスの良いコーヒーを産出する。
何代にもわたりコーヒー作りに携わってきた名家マティス一族が守るセルバ ネグラ農園には、未知のコーヒーが残されていた。ケニアと呼ばれるその豆は、1960年代にアフリカを訪問したサルバドル人が野生種を持ち帰ったのが起源と言われる。エル サルバドルでも一部の地域だけで僅かに栽培されたが、現在はほとんど残っていない。アフリカのどこから来たのか、何故ケニアと呼ばれたのか、今となっては誰も知らない。
農園の管理人さえ気に留めなかったこの品種をJosé. 川島 良彰が見出したが、農園主ロベルト マティス レガラードの品質への理解と志なくして日本に届くことはなかった。

偶然の出会いから見出された、未知のコーヒー

エル サルバドルは、僕がコーヒーの勉強をした第二の故郷であり、内戦に巻き込まれて亡くなった親友達の眠る国。僕にはこの国の最高のコーヒーを紹介する義務がある。

2008年1月、偶然通りかかった農園で見たこともないコーヒー樹に出くわした。実を食べてみると甘くてとてもジューシーだった。農園の管理人はそれをケニア種だと言うが、聞いたこともないし植物学的にも存在しない。時間が迫る中、オーナーには直接話すからと管理人を説得し、完熟豆だけを収穫して水洗工場に出荷するよう頼み、慌てて農園を後にした。

5月に再び農園を訪れて、オーナーのロベルトと面会した。見知らぬ日本人が勝手に収穫指示をしていたのだから、怒っていても当然だ。だがこのスパイシーで独特の味がする素晴らしいコーヒーを世に出せないことが怖かった僕は、エル サルバドルとこのコーヒーへの想い、そしてグラン クリュ カフェのコンセプトを切々と話した。

翌年、シャンパンボトルに詰めたコーヒーを持参してロベルトを訪ねた。「本当にお前の言った通りだ。こんなにおいしいコーヒーを飲んだことがない!」と彼は喜んでくれた。僕は本当に嬉しくてホッとし、僕を信じてくれたことに感謝した。
その後ロベルトは療養の為ヒューストンで過ごす時間が長くなり、ずっと会うことはできなかったが、娘のクラウディアが毎回僕を迎えてくれた。

2010年8月、ロベルトが亡くなった。彼は亡くなる直前まで「東京のホセのコーヒーセラーを見に行きたいから、早く元気になる」と言い続けていたそうだ。
農園を継いだロベルトの子供たちも僕と一緒にコーヒーを作り続けると約束してくれた。 ロベルトの遺してくれた唯一無二のコーヒーは、これからも多くの人々に驚きと感動を与えていくだろう。